1.経営戦略概論

 「経営戦略」という用語定義には諸説あり「経営戦略」と「経営戦術」が分けて論じられる事もあります。当サイトでは「企業・事業が順調に短期又は中・長期的に業績を上げて成長するための理論的活動指針」に該当するものを「経営戦略」ととらえ、「策定された経営戦略を具体化するためのより細部における理論的活動指針」を「経営戦術」ととらえ戦略策定に有用な概念を解説致します。

 上記「経営戦略」についてはほとんどの企業・事業様が程度の差こそあれ本能的に策定及び実行しているのが通常ですが、講学上で整理されている経営戦略関連概念及び知識やフレームワークを知り、また参考にしていく事で、今まで自社内で気づいていなかった事が見えてきたり有用な方向性を発見する事ができます。講学上の「経営戦略」概念には一般に「4要素」があるといわれております。「4要素」とは「事業ドメイン(の設定)」「資源配分(の適正化)」「競争優位性(の構築)」「シナジー(効果の展開)」です。「事業ドメイン」とは簡単にいうと「自社はどんな領域でどんな価値を提供する(できる)のか」という設定です。資源配分とは「多角化する(している)場合に自社の経営資源をどのように配分するか」という問題です。競争優位性とは「競争者に対してどう独自性を築く(事ができる)か」という問題です。シナジーとは「多角化する(している)場合に事業間にいかに相乗効果を構築する(できる)か」という問題です。この4要素を適切に設定及び運用できるか否かが経営戦略の策定及び運用のポイントとなります。「経営戦略の4要素」を図に表すと以下のようになります。

 

 例えば長年養鶏を営み鶏卵を各事業者や一般顧客へ販売してきた株式会社Aが「生まれたての新鮮な卵を使用」している事をウリとしたオムライスのレストランを開業しようとしているとします。この場合、自社で養鶏を行っているため「生まれたての新鮮な卵を使用」できるという強みはまぎれもない事実であり、客観的にも「養鶏を自社で行っている業者さんの展開するお店だからこそとても新鮮な卵により作られた美味しそうなオムライスが食べれそう」と考える人はおそらく多く、「養鶏・鶏卵販売事業」と「オムライスレストラン運営事業」にはシナジー効果はあるであろうという事ができます。また、事業ドメインの観点からも「長年の養鶏を通した鶏卵に関する深い知識を背景とした鶏卵使用の食に関する価値の提供」という他者にわかり易い事業ドメインを打ち立てる事ができ、「鶏卵使用の食に関する価値の提供業者」としてのブランド構築をうち進める事ができます。もっとも、レストランを開業しようとしているところに同じようなお店が既に何年も前からたくさんあり、さらには株式会社Aにレストラン開業に関する知識や経験・ノウハウ・有用な人材などが全くなければいくらシナジー効果があっても「競争優位性」を構築するのが難しくはないか、という問題点も出てきます。仮に株式会社Aにレストラン開業に関する知識や経験・ノウハウが全くなくてもレストランを開業しようとしているところに同じようなお店がなく、さらに需要はあるのにレストランもあまりない場合には開業にうってつけの環境といえますが、開業に関する知識や経験・ノウハウが全くない以上は万が一にレストラン経営がうまくいかなかった場合の事を考えるとレストラン開業に投資しすぎるのは少々危険なのではないか、という点から開業するなら「資源配分」をどのように行うべきかという問題点も出てきます。

 これら4要素の観点から適切な企業経営・事業運営のありかたを策定する事が講学上の「経営戦略」概念では「企業戦略(=全社戦略)」と呼ばれます。「企業戦略(=全社戦略)」を適切に策定するために講学上有名なフレームワークが「SWOT分析」「アンゾフのマトリクス」「PPM」です。社内における各事業、上記例で例えますと「養鶏・鶏卵販売事業」と「オムライスレストラン運営事業」各々について個々について策定される戦略は一般に「事業戦略」と呼ばれます。「事業戦略」は機能別毎に「生産戦略」「マーケティング戦略」「財務戦略」「人事戦略」等の機能別戦略の集合体により形成されるものとなりますが現代はどんな事業でも一番難しいのは「いかにして売上をあげるか又は売上を増やすか」であり、「売上があがらず又は増えず必要な利益を生み出す事ができなければ」他の機能別戦略がどんなに優秀であっても事業の存続は難しくなります。逆に「売上があがり又は増えて必要な利益を生み出す事ができていれば」他の機能別戦略が多少不完全であっても事業は存続していく事ができますので他の機能別戦略に関しては存続していく中で少しずつ強化していく事ができます。また、他の機能別戦略は場合により不要な場合もあります。すなわち一般論としては事業戦略におきまして最重要な機能別戦略は「マーケティング戦略」であるという事ができます(ここでは「マーケティング」の意義を「売れる仕組みづくり」程度の一般的な認識でとらえています)。このマーケティング戦略を適切に策定するため講学上有名なフレームワークが「PEST分析」「5F分析」「3C分析」「マーケティングミックス」です。 

 このように、当サイトで解説している「企業戦略」「マーケティング戦略」の策定関連知識はあくまで講学上の「経営戦略」概念の一部分にすぎませんが、これらは冒頭記載の当サイトでいう「経営戦略(企業・事業が順調に短期又は中・長期的に業績を上げて成長するための理論的活動指針)」にあたるものであり、当サイトでいう「経営戦略」概念の中核という事ができます。企業経営・事業運営におきましては論理的な裏付けのないあてずっぽうな活動でも成功しないとは言いきれませんが、裏付けのある活動より失敗する可能性が高くなるといえます。他方で論理的な裏付けがあるからといって必ずしも成功するとは限りませんが、裏付けのない活動よりも成功する可能性が高くなるものという事ができます。この点、中小事業主様の企業経営・事業運営では通常あまりじっくり考えている余裕はないため精密な経営戦略の策定・運用が行われている事は稀であると思われます。しかしながら講学上の経営戦略の知識を効率的にうまく自社の経営に取り込んでいく事で企業経営・事業運営の成功可能性を高める事ができます。当サイトでは以下「企業戦略(全社戦略)」「マーケティング戦略」を「経営戦略」の内容ととらえ、これらの戦略知識をいかに効率的に中小事業主様の経営に取り込んでいくべきかという観点から「経営戦略」について解説していきます。

※適切な「企業戦略」「マーケティング戦略」策定の前提として、自社の客観視点での現況を定量及び定性的に的確に把握するため自社分析(経営分析)の知識および自社現況の的確な把握も重要となります。運営者公式ブログ記事「自社分析と経営戦略の関係」や、運営者ご提供「経営分析サービス」等に関しても宜しければ合わせましてご参照下さい。

 

 

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