5.PEST分析

 事業環境分析のマクロ分析としてPEST分析を行います。PESTとは「政治的=political」「経済的=economical」「社会的=social」「技術的=techinological」という各側面からの自社に関連する影響で、世の中の動きを捉えるための4つの要素を英単語にした際の頭文字となります。自社に影響を与える世の中の動きを捉えずに近視眼的な環境分析を行っては戦略策定を誤りますのでPEST分析は非常に重要といえます。

 以下のようにPESTについて分析・確認していきます。

 

 PEST分析は比較的どこでも本能的に行われているものではありますが、より客観性を加えつつ戦略策定討議へ緻密に反映させていく事により、時代の流れをとらえる強い経営体質の構築に役立てる事ができます。なお、PEST分析におきましては自社に関わるPEST事象のみの抽出に限定しなければ事象は無限大にあります上、無限大に拾っていく事はそのこと自体には現在のPESTをよりよく把握できるという面で一定の意義は認められますものの、通常は時間的に不可能です。そこで「概ねどんな事業者にも一応関係するPEST事象」と「自社に明らかに関係するPEST事象」の2種のみ挙げていく事が適切である事という事ができます。そして各PEST事象から論理的に導かれる自社への影響内容も挙げていきます。上図の「~」はPEST事象を指しており、「・・・」が論理的に導かれる自社への影響内容を指しています。

 2016年7月下旬時点では「概ねどんな事業者にも一応直接あるいは間接的に関係するPEST事象」の一例は、Pでは「消費税率10%への引き上げが再延期となった→度重なる消費税率の引き上げによる経営への影響緩和が当面継続される様相となっている」、Eでは「現政権経済政策の下円安が進んでいたものの近時は円高が進み、また、世界情勢動向は今後の傾向予測を不透明なものにしている感がある→不安定な為替状況に伴う自社への影響について、また、影響が少なくない場合は為替動向に強い経営体質向上をよく検討しておく必要がある」「原油価格下落は落ち着きを見せているものの依然原油安状況である→燃料を多量に使う業種では円安で高騰していたコスト負担増大を軽減する形となっている」「インバウンドではいわゆる爆買いは落ち着きを見せてきている様相も、依然訪日外国人は増加が期待できる様相にある→インバウンドの恩恵を受けている業種や地域は依然経営向上の機会に恵まれている」、Sでは「時代のファスト化が進んでいる→ファスト化の波に乗る、あるいは裏を突く事によりファスト化にのまれない形の企業経営が要請されてきている」「少子化と社会構造変化により既存産業への様々な影響が大きく見え始めている→教育関連その他影響を強く受ける産業では有力企業の大きなリストラクチュアの発生が今後も考えられる」、Tでは「各種ソーシャルメディアやスマートフォン利用者増加が進んでいる→特に早くから同環境に慣れ親しんでいる若い世代の人々がTVや各種紙媒体産業・各種インターネット関連以外の暇つぶし産業などへ時間やお金をかける割合が減少、インターネット関連へ時間やお金をかける割合が増えるものと考えられ、インターネット広告や各種ソーシャルメディアによるプロモーション効果が徐々に効果が高まっていると推察される」「様々なクラウドサービス誕生や遠隔地取引が活発化してきている→スマートフォン社会の普及・定着によりさらなる各種クラウドサービスの隆盛・遠隔地取引の活発化が見込まれ、影響を受け易いあらゆる業種の事業・会社、特にクラウドの発展で仕事が減少し得る業種に関しては今後の経営維持発展、経営計画策定等を予測・考慮する際、留意を要する状況となってきている」等の例を挙げる事ができると思われます他、PESTの影響を受ける各種大企業の動向・米大統領選とTPPに関する具体的内容の動向、その他隣国との関係状況による影響も注視していくべき点という事ができます。(運営者公式ブログ記事これからの国内市場で支持される傾向とは?もご参照下さい)。

 

 PEST分析を適切に行うためにはPESTについて自発的に関心を持って知識・見識をつけていく事や的確な情報を教えてくれる人脈を持つ事等がポイントという事ができます。Pに関しては政治や行政の動向・法律や判例及び重要な係属裁判の動向等を的確に把握するための知識・見識・人脈等がどれくらいあるか、Eに関してはマクロには世界経済から、日本経済、ミクロには地域経済まで、経済の動きを的確に把握するための知識・見識・人脈等がどれくらいあるか、Sに関しては幅広く社会の動きを的確に把握するための知識・見識・人脈等がどれくらいあるか、Tに関してはITやその他の技術革新についての動きを的確に把握するための知識・見識・人脈等がどれくらいあるか、等がPEST分析を適切に行うためのポイントです。

 

 経営戦略概論で挙げた養鶏業の株式会社Aを題材にした場合、養鶏業に関しては飼料価格の動向分析と経営としての対策は絶えず留意と対策は必要と思われますが、オムライスレストランの経営は、現状、一般的なPEST動向の影響をさほど大きく受ける様な業種・事業ではないものといえるでしょう。前者に関しては事業に関連する法令・行政の動向や鳥インフルエンザをはじめとした養鶏に関連する各種の情報動向等「自社に明らかに関係するPEST事象」に関しても常時注視し情報取集を行い、不測のPESTの変動などに備え柔軟な動きをとれるよう対策を進めておく事は重要な姿勢である事という事ができます。

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